ブラキシズムを知っていますか?|福山市御幸町の歯医者「門井歯科医院」

お知らせ・ブログ

お知らせ・ブログ

ブラキシズムを知っていますか?

2024/02/29

ブログ

ブラキシズムとは?


皆さんは「ブラキシズム」という言葉をご存知ですか?
歯科では日常的に使われている用語です。
ブラキシズムとは歯ぎしりや食いしばりなどの非機能的運動の1つです。


そして、寝ている時(睡眠時ブラキシズム)と起きている時(覚醒時ブラキシズム)とに分けられます。

歯ぎしりとは寝ている時に「ギシギシ」「キリキリ」といった音を伴って歯をこすり合わせる習癖のことを一般的には指し、「グラインディング」と呼びます。

そして噛みしめたり食いしばったりすることを「クレンチング」と呼びます。

そして睡眠中のブラキシズムにはグラインディングだけでなく、音のしない クレンチングも含まれます。
そして、現在増えてきているモノがあります。
それが、習慣的に歯を接触させる習癖であり「TCH」と呼びます。(Tooth Contacting Habit )


このように、ブラキシズムにはさまざまなタイプがありますが、大きく分けると睡眠時ブラキシズムと覚醒時ブラキシズムに分けられます。

睡眠時ブラキシズムは睡眠の質が悪いとなりやすい?



睡眠時ブラキシズムは睡眠障害国際分類によると
睡眠関連運動障害に分類され、「過度の覚醒活動に関連する睡眠中の歯のグラインディングまたはクレンチングを特徴とする口腔異常機能」と定義されています。

ここで重要なのは睡眠時ブラキシズムが睡眠中に生じる「微小覚醒」とよばれる睡眠が浅くなる現象に伴われて生じる運動障害であるということです。
したがって、睡眠時ブラキシズムの病態を理解するうえで、「睡眠」についての知識が必要となります。

また、前述したように、実際には歯ぎしり音を伴ってリズミカルな顎の運動を伴う
「グラインディング」と噛みしめ・食いしばりを主体とした 「クレンチング」に大別されます。グラインディングは歯ぎしり音を伴い歯の咬耗を引き起こしますが、クレンチングはそういった徴候を伴わないので注意が必要なのです。


覚醒時ブラキシズム
覚醒時に行われる口腔の非機能的運動を覚醒時ブラキシズムといい、クレンチングやTCHなどが含まれます。
クレンチングは比較的強い力を伴い、運動や力仕事をするとき、緊張したときやストレスに反応して行われることが多いです。
TCHは歯を接触させることが習慣化している状態で、弱い力で長時間行われるのが特徴で、無意識の場合が多いですが、意識的に長時間歯を接触させる方もいます。


1日歯はどれくらいの時間接触しているの?


ブラキシズム=非機能的な歯の接触
睡眠時ブラキシズムであれ覚醒時ブラキシズムであれ、いずれも咀嚼や会話といった口腔機能運動時以外に認められる「歯の接触」であることには変わりありません。
そのため、 「非機能的運動」ともよばれます。
正常であれば、睡眠中であっても日中であってもほとんどの時間、歯は接触していません。


日中の歯の接触時間を測定した研究によると、通常は食事中の咬合接触を含めても
1日に10~20分程度
なのです。


それ以外の時間は、上下の歯の間には安静空隙といわれる空隙があり、歯は接触していません。

「口唇は閉じていても歯は離れている」のが正常な状態です。
なんらかの原因で歯を接触しつづける習癖(TCH)ができてしまい、それが2時間、3時間と続き、長時間歯を接触させるようになることがあります。
強い力でなくてもこれだけ長い時間、歯の接触が生じると、さまざまな症状や問題を引き起こします。
睡眠時ブラキシズムについては TCHほど長時間続くことはまれですが、一般に強い力を伴って歯の接触が生じます。
起きているときに発揮する以上の噛みしめが行われることもあります。



==================================================

「強度」と「特続時間」に注目


ブラキシズムについてどんなものか少し理解できたでしょうか?
難しい話なので今回覚えて欲しいのは、歯は普段接触しない
これは今回覚えて下さいね。
そしてここからは力と時間について説明していきますよ。

力の総和と生体の許容レベル


こうした非機能的に生じる力が積み重なり、顎口腔領域に生じる「力の総和」が生体(患者さん)の「許容レベル」を超えると、歯の摩耗や破折、歯周病の悪化,インプラントのトラブル、義歯の痛み、顎関節症といった、さまざまな問題の原因となります。
歯の接触は咀嚼など、生きるために必要な機能に伴う現象です。
そして非機能的な噛み合わせは程度の差こそあれ、ほとんどの人に認められます。

問題はそれらの「強度」と「特続時間」なのです。

顎口腔領域に生じるさまざまな力は積み木のように蓄積され,それらの合計が生体の抵抗力を超えず許容レベル内であれば、症状として大きな問題にはなりません。


つまり、歯ぎしりをするからといって、必ずしも障害をきたすわけではありません。


しかし、力の総和が許容レベルを超えてしまうと、問題となるわけです。

ここで注意すべきなのは、「生体の抵抗力・許容レベルは変化する」ということです。
たとえば、歯の機械的強度は加齢とともに低下します。
また、虫歯などで歯の神経をとったりすると歯は胎くなります。
ほとんどの歯の破折が失活歯(神経をとった歯)で起こるのはそのためです。
さらに、残存歯が減るとブラキシズムの力が残存歯に集中して問題が生じやすくなります。
つまり,ブラキシズムのレベルが変化しなくても、加齢変化、歯の喪失などで生体の抵抗力や許容レベルが低下すると実際に症状が出てくるということです。



力の問題を見逃すと・・


定期的なメインテナンスをして口腔衛生状態が良好でも、患者さんの口腔内の状態・条件とブラキシズムのレベルを把握し、適切な対応が取られていないと、良好な治療予後を担保できません。

時間と費用、手間をかけて渾身の治療を行っても、力の問題を見逃すと、さらに重篤な結果としては歯根破折が起こり抜歯になります。

歯を失う原因の第3位が破折であり、その大半は歯の根っこの破折です。

また、TCH が原因の顎関節症患者さんについても、TCHを見逃して適切な対応がなされないと、どんな治療を行っても奏功しません。

難治性の顎関節症患者さんの 約50%にTCHが伴うことも報告されています。

さらに,入れ歯を装着している方で入れ歯に問題はないのに粘膜に痛みが継続する場合に、TCHが関連していることも珍しくありません。

しかし、意識していても無意識であっても、覚醒時に歯を不必要に接触させることの為害作用について、多くの方が理解していません。
目に見えない「力」についてもしっかり把握し、適切に対応する必要があります。
つまり、プラークコントロールだけでなく、フォースコントロールという概念も理解していくことが大切なのです。


覚醒時VS 睡眠時


ブラキシズムは睡眠中に行われる「睡眠時ブラキシズム」と,「覚醒時ブラキシズム」に分けられ、両者は病態、診断、対応のいずれもが異なります。


もっとも大きな違いは、睡眠時ブラキシズムは睡眠中に生じる現象のため、完全にやめさせることが事実上不可能。

覚醒時ブラキシズムは覚醒中に生じるので理論的にはやめさせることができるという点です。


そのため、睡眠時ブラキシズムは過大な力から顎口腔領域を設ることを中心とした対応となり、覚醒時ブラキシズムは行動変容法により行動をやめることを目的とした対応となります。

このように食いしばりや歯ぎしりは侮れません。
少しでも気になる方はお気軽にご相談ください。

==================================================

毎日の食事を楽しく
門井歯科医院でした〜


この記事の著作者

グループ 1

医師 門井 一眞

2016年 九州歯科大学卒業
2016年 九州歯科大学附属病院 口腔内科 所属
2017年 茨城県某医療法人 勤務
2021年 門井歯科医勤務
患者さんにご自身のお口の中に興味を持っていただき、
一生守っていけるようサポートしていきます!
より詳しい内容はこちらをクリックしてご覧ください。

一覧に戻る