唾液は自然の歯ブラシ?|福山市御幸町の歯医者「門井歯科医院」

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唾液は自然の歯ブラシ?

2024/11/11

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唾液は自然の歯ブラシ?

唾液の役割とは?
唾液中に含まれる成分には、教科書にあるだけでも約 100種類、文献を調べればその数倍は存在し、血液からの移行物質もあるので、1000種類ほどあるのではと言われております。

このように唾液は多数の成分が含まれる機能水といえる体液です。
この唾液が担う役割は非常に多数にわたります。
私たちのお口の中はこの唾液により守られているといっても過言ではないのです。
そうはいってもどのような役割が最も大切なのか?
それを知っていくには唾液の誕生から遡っていきましょう。

唾液の歴史


唾液が誕生したのは、生物が水中から陸上に生活の場を広げたことがきっかけと考えられます。
水中ではお口が乾くことはありませんが、陸上に上がれば空気と触れるお口の中の粘膜はすぐに乾いてしまいます。
粘膜は乾くと細胞が大きくダメージを受けて機能が落ち、感染の入り口となってしまいます。
もっとも初期に必要だった役割は、ネバネバした粘液で感染から守ることだったと考えられます。
いわゆるネバネバした唾液は非常に大事な存在なのです。
そして、お口の中には唾液腺というものがありこれらが唾液を産んでくれるのです。

唾液腺とは?

唾液腺というのは唾液を作る組織のことです。

そして唾液腺には大唾液腺と小唾液腺があります。
大唾液腺は耳下腺、顎下腺、舌下腺の3つからなり、ここで作られた唾液は管を通じてお口の中に導かれます。

一方、小唾液腺は口腔粘膜やのどの粘膜の一部に存在し、直接口腔内に唾液を分泌しています。
そしてお口の中にある無数の小唾液腺は、大唾液腺より先に出現したと考えられ、小唾液腺はネバネバ唾液を出す粘液腺主体であることから、恐らく最も初期に形成されたものが現在まで引き継いでいるのでしょう。
しかし、陸上の環境は非常に厳しく、単なるネバネバした成分に留まらずに、抗菌成分を多数分泌する機能を唾液は獲得していきます。
特に唾液の抗菌・抗ウイルス作用を示す成分は 10種類以上が確認されています。
その中でも最上位の位置にあるのが 1gA抗体と呼ばれる抗体です。
IgA 抗体は、1日に 100-150mg程度口腔内に分泌され、口腔の免疫を担う重要な抗体です。
実は、お口の中にも免疫機構が存在しており、粘膜免疫と言います。
この免疫機構のお陰で、感染が予防的に防がれているのです。

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最近わかった免疫機構


ここからはややめんどくさい話になりますので飛ばしても大丈夫です。

最近の研究では、新型コロナウイルスに対する 1gA抗体や、歯周病原細菌のP.G菌など多数の悪玉菌と反応する 1gA 抗体があることが分かっています。
この唾液中の 1gA抗体は、アスリートなどが強度の運動を持続すると 1gA 抗体が減少し風邪を引きやすくなることが示されています。
さて、この1gA 抗体も唾液の液性の成分が無ければお口の中にいきわたりません。

唾液の量は、唾液中の成分を口腔内に隅々まで届けるための役割を担います。
さらに成人では1分間に2回ほど唾液は嚥下(飲み込む)されますが、その際にお口の中で唾液が移動し自浄作用が働いているのです。

1日16時間起きているとすれば 1920回の洗浄が行われていることになります。
しかし、唾液の液性成分は、お口の中に均一に分布していません。



唾液が最も到達しにくい場所は?

正解は、、、『上顎中切歯唇側面』
これは上の前歯の唇の面です。
つまりここが最も自浄作用が悪い部位となります。

磨き残しを調べる為に行う染め出しをしてみると、前歯の唇面に磨き残しが多いことをよく見かけるのはこのためです。


そして一方で、最も唾液による自浄作用が働くのはどこでしょうか?

正解は、、、『下顎切歯舌側面』
これは下の前歯の舌側の面のことです。
この部位に虫歯を見る機会は非常に少ないと言うことです。

このように唾液の働きを知ることは、口腔衛生においても大変有用です。
そして、これからの口腔衛生は、単なる歯磨きの効果だけでなく、生体側の因子である唾液の側面を鑑みながら総合的に行うことが求められる時代になると思われます。

電動歯ブラシによる唾液への影響は?


歯磨きは基本的な口腔衛生を進める大切な行動ですが、その歯磨きでも電動歯ブラシを使用すると、その清掃性や刺激によるマッサージ効果などでアドバンテージがあると一部で考えられています。

口腔ケアは機械的清掃という観点のみ焦点を当てられていましたが、今後は生体の保持する本来の機能を高めつつ清掃するという、ヒトに優しい新しい歯磨きが求められる時代が来ることを期待しております。

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あなたの今の歯磨きが将来を変える
門井歯科医院でした〜

この記事の著作者

グループ 1

医師 門井 一眞

2016年 九州歯科大学卒業
2016年 九州歯科大学附属病院 口腔内科 所属
2017年 茨城県某医療法人 勤務
2021年 門井歯科医勤務
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